2011/12/13

味覚異常について

~味がおかしいと思ったら~

 近年「味が薄い気がする」「何もしていないのに苦みを感じる」「全く味が分からなくなった」という味覚異常をもつ方が増加しています。全国で約40万人は味覚異常があると推定されています。
 私たちは舌や口腔・咽頭・喉頭に分布する味蕾(みらい)と呼ばれる部分の中にある味細胞が、味物質の情報をキャッチし、味神経を伝って大脳皮質の味覚野で情報を処理して、味を感じる事ができます。これらの機能に異常があれば、味覚異常を生じます。

様々な症状について

味が薄い⇒味覚減退
味がしない⇒味覚欠如
常に口の中が苦い、しょっぱい、酸っぱい⇒自発性味覚異常
特定の味だけが識別できない⇒解離性味覚異常
異なる味質を感じる⇒異味症または味覚錯誤
味覚が敏感⇒味覚過敏症

原因について

口腔乾燥・亜鉛不足・神経損傷・その他

 高齢者に多く、50歳以上から増加することから加齢による唾液の減少が関係しています。味質を伝えるには水分が必要です。唾液は1分間に1mlあれば大丈夫です。
 また、高血圧治療、高脂血症治療、利尿剤、高尿酸血症治療、睡眠障害改善剤、その他の薬剤を服用中に、亜鉛欠乏となることが原因の味覚異常が多く見られ、これを薬剤性味覚障害と言います。高齢化社会になり、近年増加していますので、ご注意ください。
 その他、抜歯やインプラントによる下歯槽神経の損傷や腫瘍などが原因の場合は片側のみに症状が現れることがあります。さらに心因性、貧血、口腔清掃不良、異種金属による微小電流が原因の知覚障害、胃炎なども考えられます。

治療について

 亜鉛は味細胞を作るために必要である他、様々な身体の機能を整えるために、必須です。成人に必要な量は15㎎、子供は5㎎、妊娠中は20㎎必要とされています。摂取しすぎは銅の欠乏になることがありますので、必要な量の半分を目安に、薬局のサプリメントで亜鉛(Zn)が含まれいるものを補充してください。成人なら7~8㎎を3ヵ月は続けてみてください。できるだけ早期に補充した方が回復は早いと思われます。
 その他、服用中の薬剤の見直しも必要です。亜鉛の多い食べ物は、牡蠣などの魚介類が代表的ですが、カボチャの種や小麦胚芽、まいたけ、レバー、肉類、豆類、ごま、卵、チーズ、ココア、抹茶などに多く含まれます。
 また、筋力の低下、交感神経の緊張を改善することも大事です。耳の手前や顎の下の唾液腺マッサージも効果があると言われています。

小島歯科診療所

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